大阪市の訳あり物件:長屋・密集市街地・狭い道路と、43条ただし書き・解体補助
大阪市は市全体が一つの特定行政庁で、24区で基準は共通です。43条ただし書き(建築基準法第43条第2項第2号)の許可の基準を「許可取扱要綱」として公開しています※1。
大阪市の特徴
- JR大阪環状線の外周部を中心に、戦前の長屋や木造住宅が密集し、幅4m未満の狭い道路が多い市街地が広がっている※2
- 市は10の防災街区・641haの危険な密集市街地を「重点対策地区」として、令和12年度末までの解消を目指している。令和6年度末時点で残りは4防災街区・214ha※3
- 長屋(隣の住戸と開口部のない壁を共有する建物)が多く、市の解体補助でも長屋の一部解体の限度額が別に定められている※4※5
このため大阪市では、長屋の1戸だけを売る・建て替える、狭い道路に面した古い木造住宅を解体して土地として売る、といった相談が多くなりがちです。重点対策地区や対策地区に当たるかで、使える補助が変わります(編集部の整理です)。
出典:※2 大阪市都市整備局「狭あい道路拡幅促進整備事業」、※3 大阪市都市整備局(報道発表資料)「「地震時に著しく危険な密集市街地」の解消状況(令和6年度末時点)について」、※4 大阪市「大阪市建築基準法取扱い 6-1 長屋の解釈」、※5 大阪市都市整備局「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」
大阪市の制度
43条ただし書き(43条2項2号)の許可
建築基準法第43条第2項第2号許可取扱要綱(令和2年2月1日改正)
- 敷地は公園などの空地、公共用通路またはその他の通路に2m以上接すること
- 通路の幅は1.8m以上。おおむね20年以上一般の通行に使われ、現に通行に使われ、側溝・縁石・塀などで境界が明確なこと
- 通路は両端が道路につながっていること。行き止まりは、道路から敷地までが原則35m以下、幅6m以上、終端が公園などに接する場合のいずれか
- 通路が4m未満のとき:敷地面積60平方メートル以上(同じ敷地での建替えは除く)、一戸建て住宅・兼用住宅など、地上3階以下、耐火建築物等または準耐火建築物等で内装は不燃・準不燃
- 通路が4m未満なら、通路の中心から2mの線を境界とみなす(後退)
- 通路の敷地の所有者(借地権者を含む)の承諾が必要
出典 ※1 大阪市/確認日 2026-09-20
43条ただし書きの手続き
建築基準法第43条第2項第2号許可申請の手続き要領(令和3年3月31日改正)
- 事前相談 → 基本計画の了承 → 許可申請の順。窓口は都市計画局建築指導部建築企画課
- 事前相談では、通路に面する建物で建築後20年以上たっていることが分かる建物の登記簿謄本などを出す
- 許可申請には、通路の土地の登記簿謄本、承諾書・念書、印鑑登録証明書、承諾範囲図などが必要
- 建築審査会は通常毎月第1木曜日。個別審議が要る場合は、1か月前までに基本計画の協議を終え、2週間前までに申請
出典 ※6 大阪市都市計画局建築指導部/確認日 2026-09-20
狭あい道路の拡幅
狭あい道路拡幅促進整備事業
- 対象:重点対策地区で、建築基準法第42条第2項などの道路に接する敷地(敷地500平方メートル超は対象外)
- 後退用地・すみ切り用地の境界石、舗装、側溝などの整備費の2/3以内を補助(予算の範囲内)
- 交付決定の前に工事契約・着工すると補助を受けられない
出典 ※2 大阪市都市整備局/確認日 2026-09-20
老朽住宅の解体の補助
狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度(令和8年度)
- 対策地区:幅4m未満の道路に面する敷地(または道路に2m以上接していない敷地)の昭和25年以前の木造住宅。解体・整地費の1/2以内、戸建て105万円/戸まで
- 重点対策地区:幅6m未満の道路に面する敷地の昭和56年5月31日以前の木造住宅。4/5以内、戸建て170万円/戸まで
- 建物内の残置物の撤去費は対象外。交付申請の前に解体の工事契約をすると原則として補助を受けられない
出典 ※5 大阪市都市整備局/確認日 2026-09-20
出典:※1 大阪市「建築基準法第43条第2項第2号許可取扱要綱」、※2 大阪市都市整備局「狭あい道路拡幅促進整備事業」、※5 大阪市都市整備局「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」、※6 大阪市都市計画局建築指導部「建築基準法第43条第2項第2号許可申請の手続き要領」
私道の舗装の助成について
大阪市の私道の舗装を助成する制度は、市の公式ページで確認できませんでした。大阪市建設局は、市民の声への回答で、私道は私道の権利者などが修繕するものだが、修繕が困難で安全な通行に支障がある場合は、相談があれば穴などの支障箇所のみ応急復旧を行っているとしています(2020年6月の回答)※7。
出典:※7 大阪市建設局「状態が悪い私道への対応について(市民の声)」
窓口
出典:※5 大阪市都市整備局「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」、※6 大阪市都市計画局建築指導部「建築基準法第43条第2項第2号許可申請の手続き要領」
売る前に確かめること
- 前の道が建築基準法上の道路か。道路でなければ、43条ただし書きの要綱の条件(通路幅1.8m以上・20年以上の通行など)に合うか
- 通路の土地の所有者が誰で、承諾を得られるか(登記事項証明書)
- 2項道路なら後退の要否と、狭あい道路拡幅の補助の対象地区か
- 建物が古い木造で狭い道路に面しているなら、解体補助の対象地区か
大阪府全体の仕組みは 大阪府の訳あり物件 にまとめています。
制度の内容は、2026年9月20日に大阪市の公式ページ・要綱で確認したものです。補助は予算の範囲内で、年度ごとに内容が変わることがあります。
出典
- 大阪市「建築基準法第43条第2項第2号許可取扱要綱」(令和2年2月1日改正) https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000012/12309/43-2-2kyoka.pdf /確認日 2026-09-20
- 大阪市都市整備局「狭あい道路拡幅促進整備事業」(2026年9月閲覧) https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000006179.html /確認日 2026-09-20
- 大阪市都市整備局(報道発表資料)「「地震時に著しく危険な密集市街地」の解消状況(令和6年度末時点)について」(令和6年度末時点) https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/toshiseibi/0000649992.html /確認日 2026-09-20
- 大阪市「大阪市建築基準法取扱い 6-1 長屋の解釈」(2026年9月閲覧) https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000021/21604/6-1-5.pdf /確認日 2026-09-20
- 大阪市都市整備局「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」(2026年4月1日更新) https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000531835.html /確認日 2026-09-20
- 大阪市都市計画局建築指導部「建築基準法第43条第2項第2号許可申請の手続き要領」(令和3年3月31日改正) https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000012/12309/43-2-2youryou.pdf /確認日 2026-09-20
- 大阪市建設局「状態が悪い私道への対応について(市民の声)」(2020年6月30日回答) https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000505846.html /確認日 2026-09-20
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出典:株式会社ネクスウィル「ワケガイ 公式サイト(よくあるご質問・物件カテゴリ)」(確認日 2026-09-20)