相続で共有になった不動産:遺産分割までの扱い、相続登記の期限、共有を解消する方法
相続すると共有になる
民法は、相続人が数人あるときは相続財産はその共有に属し、法定相続分をもって各相続人の共有持分とすると定めています※1。東急リバブルも、遺言で取得者が指定されていない場合、遺産分割協議がまとまるまでは法定相続分に応じて相続人全員で共有している状態になると説明しています※2。
| 相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者2分の1、子2分の1 |
| 配偶者と直系尊属(親など) | 配偶者3分の2、直系尊属3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 |
| 子・直系尊属・兄弟姉妹が数人 | それぞれの中で等分(父母の一方だけが同じ兄弟姉妹は、双方が同じ兄弟姉妹の2分の1) |
表は民法第900条によります※1。SUUMOも、相続が起きると遺産はいったん相続人全員の共有になり、遺産分割で単独名義にまとめることもできるものの、話し合いがまとまらず共有のまま残るケースも少なくないと説明しています※4。
出典:※1 e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」、※2 東急リバブル(Lnote)「不動産の共有名義とは?単独名義との違いやメリット、デメリットを解説」、※4 リクルート(SUUMO)「共有持分は売却できる?仕組み・売る方法・トラブル回避のポイント」
遺産分割で共有を解消する
共同相続人は、遺言で禁じられている場合などを除き、いつでも協議で遺産の全部または一部を分割できます。協議が調わないとき、またはできないときは、家庭裁判所に分割を請求できます※1。遺産分割の効力は相続開始の時にさかのぼります※1。
| 分け方 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 1人が取得する | 不動産を1人が相続し、ほかの相続人に代わりのお金を払う | 住み続ける人がいて、その人に資金がある |
| 売って代金を分ける | 相続人全員で売り、代金を相続分に応じて分ける | 誰も住まない、資金を払える人がいない |
| 共有のまま登記する | 法定相続分などの割合で共有として登記する | すぐに決められない。ただし後の整理が難しくなる |
表は編集部の整理です。売って分ける場合は、先に相続登記をする必要があります※3。売り方は 共有持分の売却 で説明しています。
出典:※1 e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」、※3 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
10年を過ぎたときの扱い
相続開始から10年を過ぎた後の遺産分割では、生前の贈与や寄与分を考慮した相続分(具体的相続分)ではなく、原則として法定相続分などで分けることになります(10年を過ぎる前に家庭裁判所に分割を請求した場合などは別)※1。
また、遺産分割をすべき共有の不動産は、原則として民法第258条の共有物分割の手続きでは分けられませんが、相続開始から10年を過ぎた持分は、相続人が異議を申し出ない限り、共有物分割の手続きで分けることもできます※1。くわしくは 共有物分割請求 で説明しています。
出典:※1 e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」
相続登記の期限
| 場面 | 期限・扱い |
|---|---|
| 相続で不動産を取得した(遺産分割をしていない場合も含む) | 取得を知った日から3年以内に相続登記。遺産分割をしていないと全ての相続人が法定相続分で共有した状態になるため、全員に義務がある |
| 遺産分割で不動産を取得した | 遺産分割の日から3年以内に、その結果にもとづく登記 |
| 令和6年4月1日より前に相続を知っていた | 令和9年3月31日までに相続登記 |
| 正当な理由なく登記しない | 10万円以下の過料の可能性 |
| すぐに遺産分割ができない | 相続人申告登記で義務を果たせる(申し出た相続人だけ。遺産分割後の登記の義務には使えない) |
表は法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」によります※3。法務省は、相続人申告登記は権利関係を公示するものではなく、相続した不動産を売ったり抵当権を設定したりする場合は相続登記が必要だとしています※3。
出典:※3 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
共有のまま残すと起こること
東急リバブルは、共有者が亡くなるとその持分がさらに相続の対象になり、共有者の誰かが認知症になると売却の同意を得ることが法的に難しくなると説明しています※2。SUUMOも、共有者が増えると連絡が取れない人が出てきたり、持分が細かくなったり、相続登記がされず登記名義が古いまま残ったりして、管理や売却が著しく困難になるとしています※4。LIFULL HOME’Sは、相続が繰り返された結果、共有者の誰かと連絡が取れなくなり、売却の手続きが困難になる例を挙げています※5。
共有で起きやすい問題は 共有持分のデメリットとトラブル で説明しています。
出典:※2 東急リバブル(Lnote)「不動産の共有名義とは?単独名義との違いやメリット、デメリットを解説」、※4 リクルート(SUUMO)「共有持分は売却できる?仕組み・売る方法・トラブル回避のポイント」、※5 LIFULL(LIFULL HOME'S)「不動産の共有持分は売却できる?方法や相場・トラブル事例も紹介」
相続放棄と共有持分
相続人は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません(家庭裁判所で期間を延ばせる場合があります)。放棄をした人は、その相続について初めから相続人とならなかったものとみなされます※1。
相続放棄はその相続全体についてするもので、不動産の持分だけを放棄する手続きではありません。預貯金なども受け取れなくなるため、放棄するかどうかは、ほかの財産や負債と合わせて判断してください。放棄した時にその不動産を現に占有している場合は、ほかの相続人などに引き渡すまで保存する義務があります※1(編集部の整理を含みます。判断は弁護士や司法書士に相談してください)。
相続した後で自分の持分だけを手放したい場合は、持分を売る方法があります( 共有持分の売却 )。
法令の記述は、2026年9月時点で有効な条文(e-Gov法令検索で確認)と法務省の案内(令和7年3月27日現在)にもとづいています。
出典:※1 e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」
よくある質問
- 遺産分割をしていない実家は誰のものですか?
- 相続人全員の共有です。法務省は、遺産分割をしていない場合は全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得(共有)した状態になると説明しています。
- 共有の不動産を相続したら、相続登記の期限はいつですか?
- 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。令和6年4月1日より前に相続を知っていた場合は令和9年3月31日までです。遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記で義務を果たすこともできます。
- 相続した共有持分だけを放棄できますか?
- 相続放棄はその相続全体についてするもので、不動産の持分だけを放棄する手続きではありません。相続した後で持分を手放したい場合は、持分を売る方法があります。
出典
- e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(令和8年6月24日施行時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 /確認日 2026-09-20
- 東急リバブル(Lnote)「不動産の共有名義とは?単独名義との違いやメリット、デメリットを解説」(2026年5月13日更新) https://www.livable.co.jp/l-note/question/4610/ /確認日 2026-09-20
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html /確認日 2026-09-20
- リクルート(SUUMO)「共有持分は売却できる?仕組み・売る方法・トラブル回避のポイント」(2025年12月23日公開) https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20251223/003 /確認日 2026-09-20
- LIFULL(LIFULL HOME'S)「不動産の共有持分は売却できる?方法や相場・トラブル事例も紹介」(2025年4月3日公開) https://www.homes.co.jp/satei/media/entry/202503/1101 /確認日 2026-09-20
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