借地非訟とは:地主が承諾しないときの裁判所の手続き・期間・費用と弁護士
借地非訟で扱う6つの事件
| 事件 | どんなときに使うか | 根拠 |
|---|---|---|
| 借地条件変更 | 「非堅固建物に限る」などの条件を変えて、別の構造の建物に建て替えたい | 借地借家法第17条第1項 |
| 増改築許可 | 建替え・増築・大修繕に地主の承諾が要る定めがあるのに、承諾が得られない | 第17条第2項 |
| 更新後の建物再築許可 | 契約の更新後に、やむを得ない事情で建て替えたい(1992年8月1日以降に設定された借地権だけ) | 第18条第1項 |
| 土地の賃借権譲渡・転貸の許可 | 借地上の建物を売りたいのに、地主が承諾しない | 第19条第1項 |
| 競売・公売に伴う土地賃借権譲受許可 | 競売などで建物を買った人が、地主の承諾を得られない(代金を払ってから2か月以内) | 第20条第1項 |
| 借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受(介入権) | 上の2つの申立てに対し、地主が自分で優先的に買い取る | 第19条第3項、第20条第2項 |
表は東京地方裁判所「借地非訟とは」によります※1。借地非訟で扱うのは、建物の所有を目的とする土地賃貸借契約か地上権設定契約で、無料で使わせてもらう使用貸借は対象外です※1。
出典:※1 東京地方裁判所「借地非訟とは(民事第22部)」
手続きの流れ
- 借地権者(申立人)が申立書を提出する
- 裁判所が第1回審問期日を決め、申立書を地主(相手方)に送る(申立てから概ね1か月から1か月半後)
- 審問期日で、当事者から陳述を聴く(必要に応じて期日を重ねる)
- 裁判所が鑑定委員会に、許可の可否、承諾料の額、賃料の額、建物と借地権の価格などについて意見を求める
- 鑑定委員会が現地を調べる(当事者も立ち会う)
- 鑑定委員会が意見書を出し、裁判所が当事者に送る
- 最終の審問期日で当事者の意見を聴き、審理を終える
- 裁判所が決定書を作り、当事者に送る(不服があれば送達から2週間以内に即時抗告)
流れは東京地方裁判所の案内によります※1※2。鑑定委員の費用は国が負担します※2。
出典:※1 東京地方裁判所「借地非訟とは(民事第22部)」、※2 東京地方裁判所「借地非訟事件手続の流れ(民事第22部)」
裁判所に納める費用
| 申立手数料 | 借地権が設定された土地の価格(固定資産税評価額)をもとに算定し、収入印紙で納める。平成6年4月1日から当分の間、固定資産評価額に2分の1を掛けた額を基準にする軽減措置がある |
|---|---|
| 計算の基礎(借地が土地全部の場合) | 増改築許可の申立て:固定資産評価額 ÷ 10 × 3 ÷ 2/それ以外の申立て:固定資産評価額 ÷ 2。この「目的物の価格」に応じて印紙額が決まる |
| 郵便切手 | 相手方1名の場合6,000円分。相手方が1名増えるごとに1,000円分を追加 |
| 持参する書類 | 借地の土地固定資産評価証明書(原本) |
表は東京地方裁判所「費用」の案内によります※3。印紙額は裁判所の「手数料早見表」で確かめます。弁護士に依頼する場合の費用は事務所によって違うため、依頼前に見積もりを取ってください(編集部の整理です)。
出典:※3 東京地方裁判所「借地非訟事件の費用(民事第22部)」
申し立てる前に考えること
申立てをすると、地主が介入権を使って自ら買い取ることがあり、その場合は裁判所が定めた価格で地主に売ることになります※1。三井のリハウスも、借地非訟は時間や費用がかかり地主との関係が悪化する可能性もあるため、最後の手段として検討するのが一般的だと説明しています※4。
地主との交渉がこじれる前に、借地権の扱いに慣れた不動産会社や買取業者に相談し、交渉の余地を探るのも一つの方法です(編集部の整理です)。売却の流れは借地権の売却、建て替えは建て替え・増改築で説明しています。
法令・手続きの記述は、2026年9月時点で確認した条文と東京地方裁判所の案内にもとづいています。東京23区と島しょ部以外の借地は、管轄の裁判所の案内も確かめてください。
東急リバブルは、地主の許可が必要なのに得られなかったり、法外な承諾料を求められたりするトラブルがときどきあり、そうした借地権者を救うための制度が借地非訟だと説明しています。ただし、借地非訟の対象になるのは建物の譲渡に伴う借地権の移転で、借地権だけを譲渡する場合は地主が承諾しない限り売れないとしています※5。
出典:※1 東京地方裁判所「借地非訟とは(民事第22部)」、※4 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)「借地権は売れるのか?注意点や手続きの流れを解説」、※5 東急リバブル(Lnote)「借地権相続で事前に知っておくべきことを解説!地主とのトラブル事例と解決策も紹介」
よくある質問
- 借地非訟はどのくらいの期間がかかりますか?
- 東京地方裁判所は、多くの事件は特段の事情がなければ概ね1年以内に終わっていると案内しています。
- 借地非訟は弁護士に頼まないといけませんか?
- 本人が申し立てることもできます。代理人に依頼する場合、代理人は弁護士に限られます。
- 裁判所に納める費用はいくらですか?
- 申立手数料は借地の固定資産税評価額をもとに算定し、収入印紙で納めます。郵便切手は相手方1名の場合6,000円分です。
出典
- 東京地方裁判所「借地非訟とは(民事第22部)」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-mokuji-1/index.html /確認日 2026-09-20
- 東京地方裁判所「借地非訟事件手続の流れ(民事第22部)」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-2/index.html /確認日 2026-09-20
- 東京地方裁判所「借地非訟事件の費用(民事第22部)」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-3/index.html /確認日 2026-09-20
- 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)「借地権は売れるのか?注意点や手続きの流れを解説」(2026年8月8日更新) https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/at/at_0101/ /確認日 2026-09-20
- 東急リバブル(Lnote)「借地権相続で事前に知っておくべきことを解説!地主とのトラブル事例と解決策も紹介」(2026年5月14日更新) https://www.livable.co.jp/l-note/question/1012/ /確認日 2026-09-20
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出典:株式会社ネクスウィル「ワケガイ 公式サイト(よくあるご質問・物件カテゴリ)」(確認日 2026-09-20)