借地権の認定課税:相当の地代(年6%)と土地の無償返還に関する届出
権利金の認定課税とは
国税庁は、法人が所有する土地を他人に貸して建物などを建てさせると借地権が設定されたことになり、通常は権利金を受け取る慣行があるのに受け取らないときは、権利金の認定課税が行われると説明しています※1。
認定課税が行われない場合は、次の2つです※1。
| 場合 | 内容 |
|---|---|
| 相当の地代を受け取っている | 土地の価額からみて相当の地代を受け取っている |
| 無償返還の届出をしている | 契約書で将来借地人が土地を無償で返還することを定め、かつ「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で遅滞なく税務署長に出している |
無償返還の届出をしている場合でも、実際の地代が相当の地代より少ないときは、その差額を借地人に贈与したものとして扱われます※1。
出典:※1 国税庁「No.5730 権利金の認定課税について」
相当の地代はいくらか
相当の地代の額は、原則として、その土地の更地価額のおおむね年6%程度の金額です※2。
| 更地価額 | 更地としての時価。課税上弊害がない限り、近くの類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額や、相続税評価額またはその過去3年間の平均額によることも認められる |
|---|---|
| 地代の改訂 | 契約書で改訂方法を定め、「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を借地人と連名で遅滞なく出す。地価の値上がりに応じて相当の地代に改訂する方法は、おおむね3年以下の期間ごとに改訂する。届出がないときは、それ以外の方法を選んだものとして扱われる |
表は国税庁「No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂」によります※2。三井のリハウスも、事業用定期借地権の地代は相当の地代で設定されることが多く、地価の6%程度が相場とされると説明しています※3。
出典:※2 国税庁「No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂」、※3 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)「地代の相場はいくら?借地権ごとの計算方法や調べ方も解説」
土地の所有者が個人でも届出はできる
国税庁は、土地の無償返還に関する届出は、土地所有者が個人である場合でも提出できると案内しています※4。社長個人の土地を会社に貸すような場合に使われます(編集部の整理です)。
出典:※4 国税庁「[手続名]土地の無償返還に関する届出」
相続税の評価への影響
| 場面 | 相続税・贈与税での評価 |
|---|---|
| 無償返還届出書が出されている借地権 | 借地権の価額は零 |
| 無償返還届出書が出されている土地(貸宅地) | 自用地としての価額の80% |
| 相当の地代を受け取っている土地(権利金を受け取っていない場合) | 自用地としての価額の80% |
表は国税庁の個別通達「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」によります※5。無償返還の届出をしている借地は、借地権に値段が付かない前提で扱われるため、借地人側が「借地権を売る」ことは想定しにくくなります(編集部の整理です)。
比べるために、届出などがない通常の貸宅地を見ると、東急リバブルは、その価額を「自用地評価額 ×(1 − 借地権割合)」で求め、借地権の取引慣行がないと認められる地域では借地権割合を20%として計算すると説明しています※6。借地権割合が60%の地域なら通常の貸宅地は自用地の40%で評価されますが、無償返還の届出がある貸宅地は80%で評価されるということです(編集部の整理です)。
出典:※5 国税庁「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(個別通達)」、※6 東急リバブル(Lnote)「借地権割合とは?調べ方や相続税評価額との関係を解説」
売る・返すときに確かめること
- 無償返還の届出や、相当の地代の改訂方法の届出を出しているか(控えを確認する)
- 契約書に、将来無償で返還する定めがあるか
- 実際の地代が相当の地代と比べてどうか
確認項目は編集部の整理です。借地を返したり売ったりするときに、立退料や借地権の対価をやり取りするかどうかで課税関係が変わることがあります。必ず税理士に相談してください。借地権の一般的な売り方は借地権の売却で説明しています。
税務の記述は、国税庁のタックスアンサー(令和7年4月1日現在法令等)と個別通達にもとづいています。
よくある質問
- 権利金の認定課税とは何ですか?
- 法人が土地を貸して建物を建てさせたのに、慣行となっている権利金を受け取らないときに、権利金を受け取ったものとして課税される扱いです。相当の地代を受け取っている場合や、土地の無償返還に関する届出書を出している場合は行われません。
- 相当の地代はいくらですか?
- 原則として、その土地の更地価額のおおむね年6%程度の金額です。更地価額には、相続税評価額やその過去3年間の平均額を使うことも認められています。
- 土地の所有者が個人でも無償返還の届出はできますか?
- 国税庁は、土地所有者が個人である場合でも提出できると案内しています。
出典
- 国税庁「No.5730 権利金の認定課税について」(令和7年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5730.htm /確認日 2026-09-20
- 国税庁「No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂」(令和7年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5732.htm /確認日 2026-09-20
- 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)「地代の相場はいくら?借地権ごとの計算方法や調べ方も解説」(2026年4月28日公開) https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/at/at_0394/ /確認日 2026-09-20
- 国税庁「[手続名]土地の無償返還に関する届出」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_48.htm /確認日 2026-09-20
- 国税庁「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(個別通達)」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm /確認日 2026-09-20
- 東急リバブル(Lnote)「借地権割合とは?調べ方や相続税評価額との関係を解説」(2026年5月14日更新) https://www.livable.co.jp/l-note/question/999/ /確認日 2026-09-20
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