借地権の相続:地主の承諾・名義変更料は要るか、建物の相続登記の期限
相続と遺贈で、地主の承諾が要るかが変わる
| 引き継ぎ方 | 地主の承諾 | 承諾料(名義変更料) |
|---|---|---|
| 相続(法定相続人が引き継ぐ) | 原則不要 | 原則かからない |
| 遺贈(遺言で法定相続人以外に譲る) | 必要(第三者への譲渡と同じ扱い) | 必要 |
| 相続した人が第三者に売る | 必要 | 借地権価格の10%ほどが相場 |
表はfreeeの解説によります※1。民法は、賃借人が賃借権を譲り渡すには賃貸人の承諾が必要と定めています※3。相続は、この「譲り渡し」とは別の扱いになるということです。地主から名義変更料を求められた場合は、相続か遺贈かを確かめてから話し合ってください。
freeeは、承諾が要らない場合でも、契約上の地位が変わったことを明確にするため、速やかに地主へ名義変更の連絡をすることを勧めています※1。
東急リバブルも、相続は亡くなった人の権利や義務をまとめて引き継ぐもの(包括承継)なので、借地権を相続することについて地主から個別に許可を得る必要はないと説明しています。名義変更などの手続きを求められることは多いものの、名義変更の手数料は借地契約で定められていないのが通常だとしています※4。
出典:※1 freee株式会社「借地権とは?仕組みやメリット・デメリット、所有権との違いを解説」、※3 e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」、※4 東急リバブル(Lnote)「借地権相続で事前に知っておくべきことを解説!地主とのトラブル事例と解決策も紹介」
建物の相続登記は3年以内
法務省は、相続人は不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが法律上の義務になったと説明しています。正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります※2。
| 始まった日 | 令和6年(2024年)4月1日 |
|---|---|
| 期限 | 相続で取得したことを知った日から3年以内 |
| 令和6年4月1日より前の相続 | 相続登記がされていないものも対象。令和9年(2027年)3月31日までに登記する |
| 遺産分割がまとまらないとき | 相続人が単独でできる「相続人申告登記」で義務を果たすこともできる |
| 相談先 | 法務局(登記手続案内)、司法書士・司法書士会 |
表は法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」によります※2。借地の場合、土地は地主のものなので、相続登記が問題になるのは借地上の建物です(編集部の整理です)。
出典:※2 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
建物の登記は、借地権を守るためにも必要
借地権は、登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有していれば、第三者に対抗できます※5。建物の登記名義が亡くなった親のままだと、相続した人が「登記されている建物を所有している」状態とは言いにくく、地主が土地を第三者に売ったときなどに不安が残ります。相続登記を済ませておくのが安全です(編集部の整理です)。
出典:※5 e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」
相続した借地の、その後の選択肢
相続人が複数いて遺産分割をしていない場合、法務省は、全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得(共有)した状態になると説明しています※2。売るにしても貸すにしても、先に誰が引き継ぐかを決めておくと話が進みます(編集部の整理です)。
出典:※2 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
相続税の評価
借地権は相続税の課税対象です。普通の借地権は、土地の自用地としての価額に路線価図の借地権割合を掛けて評価します※6。計算の例は借地権の売却相場に載せています。申告が必要かどうかは税理士に相談してください。
法令の記述は、2026年9月時点で有効な条文(e-Gov法令検索で確認)にもとづいています。
出典:※6 国税庁「No.4611 借地権の評価」
よくある質問
- 借地権を相続したら、地主に名義変更料を払う必要がありますか?
- 通常の相続であれば、地主の承諾は原則不要で、名義変更料などの費用も発生しないとされています。遺言で法定相続人以外に譲る遺贈の場合は、承諾と承諾料が必要です。
- 借地の建物の相続登記はいつまでにすればよいですか?
- 相続で取得したことを知った日から3年以内です。令和6年4月1日より前の相続で登記していないものは、令和9年3月31日までに登記する必要があります。
- 相続した借地権を売ることはできますか?
- できます。第三者に売る場合は地主の承諾が必要で、譲渡承諾料は借地権価格の10%ほどが相場とされています。
出典
- freee株式会社「借地権とは?仕組みやメリット・デメリット、所有権との違いを解説」(2026年3月19日更新) https://www.freee.co.jp/kb/kb-business/what-is-leasehold/ /確認日 2026-09-20
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html /確認日 2026-09-20
- e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(令和8年6月24日施行時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 /確認日 2026-09-20
- 東急リバブル(Lnote)「借地権相続で事前に知っておくべきことを解説!地主とのトラブル事例と解決策も紹介」(2026年5月14日更新) https://www.livable.co.jp/l-note/question/1012/ /確認日 2026-09-20
- e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」(令和8年5月21日施行時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090 /確認日 2026-09-20
- 国税庁「No.4611 借地権の評価」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4611.htm /確認日 2026-09-20
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